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百年の亡国 憲法破却 [歴史/チャンバラ(日本)]

タイトル    百年の亡国 憲法破却
作者     海道 龍一朗


(あらすじとデータ)

昭和20年。
太平洋戦争で敗戦した日本に、
GHQが新しい憲法を押し付けた話。


(私はこう読んだ)

言いたいことは良く分かる。
分かるんだけど、正直、暑苦しくて、辟易しました。
真面目な話を直球でやるなら、
もうちょっと小説世界に厚みが欲しいなあ、なんて。

主題の重さに比べると、登場人物に深みが欠けているので、
それが作品に共感できなくさせているような気がします。
解説には「等身大」とありますが、
「等身大」の人間しかいない世界ってなによ?
と思っちゃったのは私だけでしょうか。
なにより、戦後の「等身大」としての説得力に欠けます。

構成も、悪いような、そうでもないような、だし。
台詞はダサくて恥ずかしいし。
時々、私にしては珍しく、ナナメ読みしちゃいました。

ただし、内容は面白かったです。
よく調べてまとめたなあ…というのが、一番の感想で、
もしかしたら、小説の形態でなかったら、
普通に面白い読み物だったのに。


百年の亡国 憲法破却 (講談社文庫)

百年の亡国 憲法破却 (講談社文庫)

  • 作者: 海道 龍一朗
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/04/15
  • メディア: 文庫



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謎手本忠臣蔵 [歴史/チャンバラ(日本)]

タイトル    謎手本忠臣蔵
作者     加藤 廣


(あらすじとデータ)

ご存知・忠臣蔵を「信長の柩」の作者が料理。


(私はこう読んだ)

正直、いまさら忠臣蔵か…とも思いましたが、
バランスの良い切り口で、なかなかの秀作。
嘘であることを前提にしている
歌舞伎の世界観とは、さすがに一味違います。

紙に書かれたものが
真実であるとは限らない、前提のうえで、
いかにも真実に近い世界観を提示していくか、
という、正しい姿勢の歴史小説家です。
本作も、真面目で丁寧な作品だと思いました。

それでいて、大石の解釈はいかにも現代風というか、
投げやりなサラリーマンっぽくて面白いなあ、と思いました。
バブルがはじける前には出てこなかった
かもしれない、大石像じゃないかしらん。

特に目立ってアクロバテックな論理展開をしている
わけではないと思うんですが、
朝廷と暦の話は、なるほどな、と思いました。

最近、近隣アジアに旅に行ったりすると、
日本はよくぞ太陽暦を取り入れたもんだ…と、思うことがあって。
どうやって皇室を言いくるめたんだろ、とか。
だいたい、今は太陽暦で神事を行っているところもあるけど、
それって意味あるのかな?とか。
普段、ぼんやり疑問に思っているあたりの答えも、
もしかしたらそのへんにあるのかもなあ…なんて思ったり。

なんにせよ、元禄は面白いです。
日本史のなかでも、価値観の変化が大きく、
多様化していった時代のひとつで。
おそらく、この辺から現代日本に直結する美意識が
発生しているような気がします。


謎手本忠臣蔵 上

謎手本忠臣蔵 上

  • 作者: 加藤 廣
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/10
  • メディア: 単行本



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幕末維新の暗号 [歴史/チャンバラ(日本)]

タイトル    幕末維新の暗号
作者      加治将一


(あらすじとデータ)

歴史上、トンデモ・ネタとして位置づけられているフルベッキ写真。
幕末維新の志士が一同に集合したこの写真は、
調べる者を不幸に陥れるのだという。
フルベッキ写真には、一体なにが隠されているのか。
歴史の闇を調査する作家の周囲にも、
秘密結社・南梟団の影が…


(私はこう読んだ)

面白ーい(≧∇≦)
興奮しました。
文句なし!

…と言いたいところなんだけど。
文句はすごーくあるのですよ。

まず、登場人物(とくに主人公のオサーン)が激しくキモい!
自意識過剰で偏狭な文体も反発しか感じないし。
読書中の印象は不愉快そのもの。

大変だー、スキャンダルだー、暴くと命の危険がー(>Σ<)
と、騒ぐわりには、小説的に地味な展開。
リアルなつもりなんだろうなあ…と思うと、
正直ちょっと引く。

小説という形態じゃなくて、
普通に歴史読み物だったら良かったのにー。
内容はかなり面白いのにー。

結局、ジェネレーションギャップかなあ?
なんて思っちゃったセンスの差ですが。
なんでこんなに違和感を覚えたか、というと…

衝撃の事実と、バリバリのネタバレつき感想は
「続きを読む」でお話しましょう。


幕末 維新の暗号(上) 群像写真はなぜ撮られ、そして抹殺されたのか (祥伝社文庫)

幕末 維新の暗号(上) 群像写真はなぜ撮られ、そして抹殺されたのか (祥伝社文庫)

  • 作者: 加治 将一
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2011/06/09
  • メディア: 文庫


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夏草の賊 [歴史/チャンバラ(日本)]

タイトル    夏草の賊
作者     司馬遼太郎


(あらすじとデータ)

司馬遼太郎が「情熱」をテーマに書いたというのが、
土佐の長曾我部元親。
戦国時代に四国を統べ、後に秀吉に降った男である。

その元親が嫁にもらったのが、
明智光秀の部下・斎藤内蔵助の妹。
すなわち、のちの春日局の叔母である。

内面は意外とグズグズしている元親と、
裏表のない冒険家である嫁の戦国物語。


(私はこう読んだ)

なんとなく猛々しいイメージが先行していた長曾我部ですが、
そうだよなあ、男らしい男のグズグズしたのって
こんなだよなあ…と
思わせる人物の切り取りかたで。
さすが。
司馬式人物造形は相変わらず可愛らしい。
信長や秀吉のような派手さはないけれど、
個性的で面白い武将だと思いました。

嫁がまた愉快なの。
粗忽で、ちょっとしたおバカさんなんだけど、
たいへん共感しました。
こういう物語を読むと、
人間、多少バカのほうが幸せで正しいんじゃないか
って気になります。

前半、野放図に野心を抱いていた元親が、
秀吉に屈したあと、息子に死なれたあとと、
徐々に萎んでいくのは切ないです。
田舎にあって、きらぼしなごとき武将であった元親の、
諦めの形が、また印象的で、ドラマチックな一冊でした。
この晩年を負け犬と呼ぶのは簡単だけど、
そうはしなかった大作家の答えに、
日本の美意識を読みました。



夏草の賦 [新装版] 上 (文春文庫)

夏草の賦 [新装版] 上 (文春文庫)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2005/09/02
  • メディア: 文庫



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みのたけの春 [歴史/チャンバラ(日本)]

タイトル    みのたけの春
作者     志水辰夫


(あらすじとデータ)

侍でありながら、農民でもある郷士という立場は
微妙だ。
侍だから、剣術やら学問やらにいそしまなくちゃいけないし、
農民だから、養蚕の繁忙期にはてんてこまい。
お金の心配をしなけりゃならない。

ハンパな侍である郷士は
本当の侍と肩を並べられるわけもなく、
嫌な奴には不当に罵倒されたり、
分かり合えないことも多い。

才能に恵まれながら、病気に倒れた友。
身分の壁に我慢ができなくなってしまう友。
時代は幕末。
学友たちのなかには、尊王攘夷を歌う者たちもあり、
新しい何かをしなければいけない空気もあって、
しかし、
病気の母親をかかえた青年は盲動を控えるように
訴えるのだったが。

生野の乱を題材にした郷土愛モノ。


(私はこう読んだ)

目の前にあるものを素直に愛せるオトナな若者の目線で、
幕末のすったもんだを切り取っているのがポイント。
環境を変えよう、という動きが盛んな世の中で、
淡々と「やるべきことをやっている」人生は、
それはそれで格好良く、
勇気の要る生きかただろうと思います。
自分で考えて、それを貫くって、簡単なようで難しいです。

その反面、バカやって死んでゆくのも、
若者らしい切なさがあっていいなあ、とも思うのです。

衝動にしろ、なんにしろ、
やむにやまれぬ感情に背中を押されるってあるもんです。
失敗しても、つまらなくても、
自身の分を全うするほうが、幸福なんだと、
まあ、そういう普通にあたりまえなお話でしたが、
普通って案外難しいからなあ。



みのたけの春 (集英社文庫)

みのたけの春 (集英社文庫)

  • 作者: 志水 辰夫
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/11/18
  • メディア: 文庫



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