みのたけの春 [歴史/チャンバラ(日本)]

タイトル    みのたけの春
作者     志水辰夫


(あらすじとデータ)

侍でありながら、農民でもある郷士という立場は
微妙だ。
侍だから、剣術やら学問やらにいそしまなくちゃいけないし、
農民だから、養蚕の繁忙期にはてんてこまい。
お金の心配をしなけりゃならない。

ハンパな侍である郷士は
本当の侍と肩を並べられるわけもなく、
嫌な奴には不当に罵倒されたり、
分かり合えないことも多い。

才能に恵まれながら、病気に倒れた友。
身分の壁に我慢ができなくなってしまう友。
時代は幕末。
学友たちのなかには、尊王攘夷を歌う者たちもあり、
新しい何かをしなければいけない空気もあって、
しかし、
病気の母親をかかえた青年は盲動を控えるように
訴えるのだったが。

生野の乱を題材にした郷土愛モノ。


(私はこう読んだ)

目の前にあるものを素直に愛せるオトナな若者の目線で、
幕末のすったもんだを切り取っているのがポイント。
環境を変えよう、という動きが盛んな世の中で、
淡々と「やるべきことをやっている」人生は、
それはそれで格好良く、
勇気の要る生きかただろうと思います。
自分で考えて、それを貫くって、簡単なようで難しいです。

その反面、バカやって死んでゆくのも、
若者らしい切なさがあっていいなあ、とも思うのです。

衝動にしろ、なんにしろ、
やむにやまれぬ感情に背中を押されるってあるもんです。
失敗しても、つまらなくても、
自身の分を全うするほうが、幸福なんだと、
まあ、そういう普通にあたりまえなお話でしたが、
普通って案外難しいからなあ。



みのたけの春 (集英社文庫)

みのたけの春 (集英社文庫)

  • 作者: 志水 辰夫
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/11/18
  • メディア: 文庫



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