日無坂 [歴史/チャンバラ(日本)]

タイトル    日無坂
作者     安住 洋子


(あらすじとデータ)

職人の息子ながら、奉公先で目をかけられて婿入りし、
薬種問屋の名門店の主人となった父親。
その父親とソリがあわずに、勘当された長男。

ヤクザながらも、そこは父親に似て生真面目な長男は、
どうにもワルになりきれない。
大人になって、
将来を考え、
ふと、父親を一人の人間として見ることができる自分に気づくが、
いまさら対面することもできない。

そんなときに、たまたま見かけた父親はひどく具合が悪そうだった。
声もかけられなかった父親が、
その後すぐに不幸に見舞われるとは・・・。

世話物の秀作。


ちなみに、
日無坂(ひなしさか)は文京区目白台と豊島区高田の間にある。
目白通りから入り、富士見坂の途中から分岐している階段坂。

富士見坂は知っていたけれど、
日無坂は何度も歩いていたのに、今回調べて名前を知った。
名前でいうほど、昼なお暗い印象はない。
さほど長い坂ではないが、こう配はけっこうきつい。

江戸切絵図にも載っている、とのこと。


(私はこう読んだ)

傑出したストーリーテラーという感じではないけれど、
手堅く、無駄のない筆の運びが美しいです。
甘さと紙一重の、優しさあふれる世界観も、
ストイックとさえ言える文章が、
さわやかに見せてくれます。

初めて読む作家さんでしたが、
ぜひ注目したいです。


日無坂 (新潮文庫)

日無坂 (新潮文庫)

  • 作者: 安住 洋子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/11
  • メディア: 文庫



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