乱灯 江戸影絵 [歴史/チャンバラ(日本)]

タイトル    乱灯 江戸影絵
作者     松本 清張
出版社     角川書房


(あらすじとデータ)

目安箱に入れられた一通の上書の真意を確かめるため、
将軍吉宗は大岡忠相を動かした。

大岡直属となった同心・香月弥作は、
偽名で書かれた上書の差出人を探りだし、その背景を探ることになった。
その矢先に起こった尼僧殺しに、弥作は疑問を覚える。


(私はこう読んだ)

なにをどうとでも料理できる清張サマですから、
どっち方面に行くかなあ、と思っていたら、
案外、普通に地味な時代小説でした。

本当は「西街道奇談」みたいな、
せめて、「異変街道」みたいな、
派手めエンタメちょっぴりおバカ路線のチャンバラが読みたかったのですよ。
途中まで、そっち路線に伸びていたので、期待したのになあ。
ザンネン。

いやいや、
はじめての隠密お庭番、とか。
ラブリーにクワセモノな大名家老の次男坊、とか。
それなりに楽しいエッセンスは入っているんだけど、
主人公が地味だと、やっぱり地味に感じちゃうってことかもしれません。

あれも、これもと、糸を張り巡らせたあげくの、
ラストの持っていきかたなんかは、
どちらかというと現代小説ピカレスク物で清張がよくやっているオチの付け方で、
いかにもらしいセンスだなあ、と思いました。
 



ところで、
本作の吉宗が完全無欠のトノサマなので、ちょっと新鮮でした。

最近は、「吉宗ってどうよ?」な読み物ばかり目にしていたので、
小説的には、こっちがスタンダード!
と、自分に言い聞かせるのに苦労をしたり。

家重も、
「お母さんがキチガイだったから、それが遺伝した阿呆の鬼っ子」
という扱いで、
しょんべん公方と呼ばれた家重の、庶民の捉え方がこうであったこと。
今ではアテトーゼタイプの脳性麻痺者だったとも言われる家重の描写に、
障害者に対するかつての目がどういうものであったのかを改めて感じました。


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