淑やかな悪夢 英米女流怪談集 [ホラーミステリー]

タイトル    淑やかな悪夢 英米女流怪談集


(あらすじとデータ)


西崎憲・南条竹則・倉阪鬼一郎による怪談アンソロジー。

・追われる女   シンシア・アスキス
            仮面の男に告白
・空地       メアリ・E・ウィリキンズ‐フリーマン
            不格好に長い白い影
・告解室にて   アメリア・B・エドワーズ
            殺人者の幽霊
・黄色い壁紙   シャーロット・パーキンズ・ギルマン
            壁紙のなかの這う女
・名誉の幽霊   パメラ・ハンスフォード・ジョンソン
            道化師の幽霊
・証拠の性質   メイ・シンクレア
            愛妻の死
・蛇岩       ディルク夫人
            呪われた血族
・冷たい抱擁   メアリ・E・ブラッドン
            恋人の死
・荒地道の事件   E&H・ヘロン
            咳する地霊
・故障        マージョリー・ボウエン
            肖像画に恋する話
・郊外の妖精物語 キャサリン・マンスフィールト
            小鳥な息子
・宿なしサンディ  リデル夫人
            悪魔と牧師



(私はこう読んだ)

ぶっちぎりに、突き抜けて「黄色い壁紙」が怖いです。
なんと言っても出来がいい。
文句なしに怖い小説です。
どうしてこれだけ?というくらい、
ほかの怪談は可愛らしいのに。
怖い。

本当に怖い怪談って、本当はいくつもないと思うんだけれど、
これはそのうちのひとつに数えていいと思います。
書かれているのが100年以上前だろうと、
色褪せていない力強さがあります。
名作です。

この作品、
ゴーストハウス系の話ではあるんだけど、
ジャーリー・シャクソンの「たたり」よりは絶対に面白いです。
なんじゃこりゃ度は岡本綺堂の「すいか」並み。

狂っていく系の話でもあるんだけど、
感触としては、どことなくレオノーラ・カリントンの「耳らっぱ」を
思い出すなあ、と思ったら、
両作家のフェミニズム運動なニオイだったのかも。


三人の編集・翻訳者たちの付録の対談がオタクまるだしで
めちゃくちゃ楽しいです。
好きなものを「好き」って叫んでる本は、
なんであれ嫌いになれませんが、
ギルマンのおかげで忘れられない一冊になりました。
ごちそうさまでした。



淑やかな悪夢―英米女流怪談集

淑やかな悪夢―英米女流怪談集

  • 作者: シンシア アスキス
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2000/10
  • メディア: 単行本



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