星新一時代小説集(地の巻) [歴史/チャンバラ(日本)]

タイトル    星新一時代小説集(地の巻)
作者     星 新一


(あらすじとデータ)

・ねずみ小僧次郎吉   ねずみ小僧のお話
・藩医三代記       お医者さんの家系の三代記
・かたきの首       敵討ち相手の商売
・島からの三人      島帰りの男達が隠密になった話
・元禄お犬さわぎ     生類あわれみの令で得をした人の話
・厄よけ吉兵衛      信心と縁起を大事にする庶民のお話


(私はこう読んだ)

星新一といえば、短編SFの名手でありますが、
これは時代小説短編集です。

義理とか人情とか、
浪花節なウエッティな部分を削ぎ落とした、シャープな物語構成は、
さすがに星新一という感じで、
こうなると、もはや作者名とはブランドに他ならないと思い知らされた次第。

ユーモラスと評されることも多い星新一作品ですが、
そこはかとなく可愛らしい。
その持ち味として、
逃げ場のある断定形があげられるんじゃないかと思うんです。

「AはBである」
「CもBである」
「だからAはCでもあるんだろうなあ」
というのが星新一なんであって、
「AはCである!」とは決して威張らないあたり。

育ちの良さを見せながら、
しかし、
物語のオチはいつも結構イジワルなのも、星新一作品で、
エッジの効いたユーモアセンスは、
いっそ日本人離れしているためか、
おおよそ時代小説らしからぬ時代小説短編集になっています。

あれこれつぶやいてしまいましたが、
星新一という作家は、とりもなおさず、カッコイイんであります。
チョンマゲだろうとなんだろうと、星新一はやっぱり星新一なんだなあ
と感心したのでした。



星新一時代小説集〈地の巻〉 (ポプラ文庫)

星新一時代小説集〈地の巻〉 (ポプラ文庫)

  • 作者: 星 新一
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2009/10/10
  • メディア: 文庫



nice!(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 3

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。