向日葵の咲かない夏 [ホラーミステリー]

タイトル   向日葵の咲かない夏
作者     道尾秀介
出版社   新潮社

(あらすじとデータ)

奇怪な犬猫の殺害事件が連続して不安な気分でいる町で、夏休みをむかえる終業式にやってこなかったクラスメイトのS君の家を訪れた主人公・僕は、S君が首を吊って死んでいるのを発見する。
だが、大人たちがかけつけたとき、なぜか死体がなくなっていた。
生まれ変わった蜘蛛の姿で僕の前に現れたS君は、「自殺なんかしてない、殺されたんだ」という。
僕と妹はS君の無念を晴らすため、事件を追うのだった・・・。

2009年オリコン・ベストセラーランキング1位だそうです。


(私はこう読む)

とりあえず、上手いんだろう。
病気っぽい男の子がちゃんと気持ち悪い、というのは。
どれくらい気持ち悪いかっていうと、水上勉の「雁の寺」ぐらい!
生臭い感っていうか、青臭い感っていうが、生理的嫌悪感に直接うったえかける感じが凄いです。

しかもミステリーとしては、オープニングからトリックスターであることを隠しもしない挑発っぷり。
なんという鼻息の荒い作品であることか。
最初から最後まで気味の悪い主人公の、結局は夢落ちもありうると疑っていたくらいなのに。
かなりな力技を繊細にやってのける力量は圧巻と申せましょう。
そう。どうしても嫌いになれないのよ、そのあたり。

ともかく、子供がひどいめにあう話です。
後味もあんまり良くない。
なのに、売れるというのは、やっぱり「面白い」からなんだと思います。
このスピード感と分からなさ加減は、やっぱり、ほど良く面白い。

あとは、人の数だけ世界はある、という世界観がたくさんの人に受け入れられる、
現代の風潮の優しさと冷たさを強く感じました。
悪趣味も趣味のうち、みたいなものも含めて。



向日葵の咲かない夏

向日葵の咲かない夏

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/11
  • メディア: 単行本




雁の寺・越前竹人形 (新潮文庫)

雁の寺・越前竹人形 (新潮文庫)

  • 作者: 水上 勉
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1969/03
  • メディア: 文庫



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