閉店時間 [ホラーミステリー]

タイトル    閉店時間
作者     ジャック・ケッチャム


(あらすじとデータ)

鬼畜ホラーで有名なケッチャムの中編集。

・閉店時間     アーバン・ホラー? 強盗の話
・ヒッチハイク    弁護士がヒッチハイクしたのは頭のおかしい同級生
・雑草        レイプ殺人を繰り返すカップル
・川を渡って    ウエスタン物 人身売買から少女を救う


S・キングがケッチャムの最高傑作と絶賛する「川を渡って」は映画化企画あり、だそう。


(私はこう読んだ)

ケッチャムが怖いのは、
ケッチャムの感性が「普通」だからだと、
確認ができた気がする一冊です。

とくに「閉店時間」は小説としては弱いながら、
ケッチャム読みとしては、一番興味深かったです。
9.11にニューヨーカーがどれだけ感傷的になったか、が
逆に言えば、
実は平和ボケしてるアメリカ人の繊細さをあらわしているように
思いました。

鬼畜と言われながら、
代表作である「隣の家の少女」にしても、
「オフシーズン」にしても、
また、他の作品にしても、
作品の中で、
最終的には悪人になんらかの制裁を加えずにはいられない
ケッチャムの書いているのは、結局のところ、
いつも「正義」なのだと思うのだけど、
その正義の有様が、
西部劇のセンスと変わらない、個の暴力であることに、
なぜか、大陸の空気感を感じました。

なんだろうなあ。空に閉じ込められている感じ、って言うか。
うまく表現できないけど。


ともあれ、
長編じゃなくても暴力とレイプの氾濫した、
相変わらず胸の悪くなるような作品群で、
腹がたつので、読むのに体力は要りますが、
フィクションとしては、やはり面白いです。

特に「ヒッチハイク」は長編にはないスピード感で、
遠心力でブンブン振り回されたあげくに着地する、ジェットコースター的な
楽しさがあります。

「川を渡って」も盛りだくさんな感じで文句なく、
その風景は美しいと言っていい、傑作。

鬼畜すぎる冒頭が衝撃的な「雑草」も
ファンなら一読の価値アリ、です。


長編じゃないから、読みのがしていましたが、
なかなかどうして、
面白かったです。


閉店時間 (扶桑社ミステリー ケ 6-9)

閉店時間 (扶桑社ミステリー ケ 6-9)

  • 作者: ジャック・ケッチャム
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2008/07/30
  • メディア: 文庫



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