洞窟 [ホラーミステリー]

タイトル    洞窟
作者     ジェイムズ・スターツ


(あらすじとデータ)

トゥファと呼ばれる柔らかな石を彫って作られた
洞窟住居で有名な町。
使われていない洞窟住居で少年と少女の遺体が発見された。

居合わせた研究者の混合チームのメンバーは、
郷土意識の強い共同体のなかで、
次第に追い詰められていく。


(私はこう読んだ)

エロチィックな変死体と、
エキゾチックな南イタリアの旅情がウリ。
と、聞くと、
重たい火曜サスペンスかと思われるかもしれませんが、
あんまりそんな感じでもありません。

旅情的には、
夏目漱石「坊ちゃん」の道後温泉的かなあ、と。
旅というより、異邦人な感じ。
だから、なんとなく、黒い「坊ちゃん」みたい、と
連想したのだけれど、
普通に考えると、横溝正史でも近いのかも。

ユーモアセンスの黒さ加減もさることながら、
白い石でできた洞窟の内部の、
やたらと暗いイメージに、
気分も真っ黒。
いつも暑くて、汗だくで、
カルシウム質の石が削れた粉だらけ。
強い光の影だまりの印象が強い作品でした。

ミステリーの部分もそれなりですが、
作者が新聞記者として駐在中に仕込んだ
生活小噺の部分が、思いのほかに面白く、
ちょっぴり得した気分になりました。

ホラーとしては少し物足りない感じもしますが、
小説としては結構好きです。



洞窟 (ハヤカワ文庫NV)

洞窟 (ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: ジェイムズ スターツ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2001/11
  • メディア: 文庫



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