柳生一族 [歴史/チャンバラ(日本)]

タイトル    柳生一族
作者     松本 清張


(あらすじとデータ)

時代小説短編集。

・柳生一族         
・通訳             
・廃物             
・破談変異          
・栄落不測          
・蓆
・五十四万石の嘘
・疵


(私はこう読んだ)

ほとんど完璧に美しい短編が並ぶ、素晴らしい作品集です。

個人的には、特に徳川家重と大岡忠光の関係を描いた「通訳」が
とても好きです。
構成といい、切り口といい、隙がない美しさで。
思わず、読み終わってすぐに、読み返しました。
傑作です。

豊島刑部と井上主計頭が失脚した
江戸城内刃傷事件(「破談変異」)の歴史的背景なんかは、
ちょっと違うな、と思う(たぶん、もっと複雑で重い事件だと思う)んだけど、
でも、小説作品としては、綺麗でうっとり。

ニヒリズムと、栄枯盛衰のもののあわれを描く姿勢は、
全体的に、清張らしさというものでしょう。

どれも上質な和菓子のように、ピカピカに美しい、
こういう小説を書いていた清張が、
筆を重ねるにしたがって、
より娯楽性の高い「西街道談奇」みたいな世界に着地する、
そのセンスが、実は物凄くカッコいいんじゃないか・・・?
と、うっかり惚れ直した一冊でした。



柳生一族 (光文社時代小説文庫)

柳生一族 (光文社時代小説文庫)

  • 作者: 松本 清張
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 1986/10
  • メディア: 文庫



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